雨霞 あめがすみ

過去に書き溜めたものを小説にするでもなくストーリーを纏めるでもなく公開します。

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

鉛色の出来事 本編 五

正門前には学校指定の文具屋があって、登校時にはわざわざ店の前にテーブルを置いて商売をしていた。毎朝子供たちでいっぱいだった。 しかし私は、ここでは買うことはあまりなかった。どちらかといえば、道路の向かいの、もうひとつあった小さな文具屋で買っ…

鉛色の出来事 本編 四

虹教諭が、何故私に反感を持つようになっていたのか、歩きつつ、ぼんやりとそんなことを考えた。 小学校四年生は、先生がああだと言えばそれに逆らえないガキタレでしかない。悪ガキでさえなかった私に、外部から学校に苦情を持ち込まれたこともない。 そん…

鉛色の出来事 本編 三

久しぶりに訪れた大阪は、街そのものが圧縮されたような、押し詰められた箱庭のような感じを受けた。 オフィス街や新しく開発された街並みは別として、古いまま残っている住宅街は、狭い道路を挟んで肩を寄せ合って並んでいるような、やや大袈裟に言えばプラ…

鉛色の出来事 本編 二

長谷をはっきりと認識したのはいつだったろうか。 そうだ、あの時…。 長谷まり子。はっきりとしないが、四年生になった時のクラス替えで多分いっしょになった。 長い間洗ったこともなさそうな汚れた服を毎日着続け、目ばかり大きくてキョトンとして、可愛い…

鉛色の出来事 本編 一

キチっとまとめていませんが、ちょっと腱鞘炎気味なので、本編を少しずつ公開して行きます。 お読みください。 鉛色の出来事 本編 一 ある日ひょっこりと、大阪から小学校の同窓会の案内が舞い込んだ。住所など教えた記憶はないが、たまに連絡を取っているの…

鉛色の出来事 梗概

始めたばかりで、はてなの感触がまだもう少しというところです。しかし記事は書けますので、ボチボチ行こうと思います。 これは長編の一部として書いたものですが、短編としても構成できますので、これを関する梗概を取り合えず最初に公開します。 鉛色の出…

ブログ開設のご挨拶

始めまして。 恐る恐るブログをはじめました。 過去に、別段小説家を目指すでもなく思いついたことや小説めいたものを書いていました。どこへの発表も考えませんでしたが、そろそろ人生も黄昏であり、ネット上のどこかに、誰読むことを期待するでなく、書庫…