雨霞 あめがすみ

過去に書き溜めたものを小説にするでもなくストーリーを纏めるでもなく公開します。

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

水色の日傘 10

それにしても上手すぎる成り行きだ。いったい篠田はどうやったのだろうか。 訊いてみると、ことの成り行きは意外だった。 「あのな、俺も思うてもみんかったわ」 篠田はしかめっ面でもなく笑うでもない顔を浮かべて唸るように呟いた。 「あいつな、他のメン…

水色の日傘 9

☆今回は少し長いです。お付き合いください。☆ ------------------------------------------------------- 篠田に影響された訳ではないが、噂と言ってもアリバイは作っておかねばならない。幼い頭脳で健気にも考えた私は、月曜日の休み時間、直ちにピッチャー…

水色の日傘 8

ママさんと子供の姿が見えなくなっても、篠田と私は揃ってベンチに腰を下ろしてぼんやりとしていた。すぐに帰る気にはなれなかった。 私は眉毛がママさんを見たときに一瞬何かを考える風だったのを思い出した。あれは何だったのか。誰かに似てるとか、どこか…

水色の日傘 7

「このごろあかんわ、身体が動かへん、明日は大変やで」 「ミットもないからみっともないわ~」 「そんなしょうもない洒落、誰が笑うかいな」 あれこれ言いながら集まってきたメンバーを見ると、遠くで眺めるのとは違って皆それなりに歳をとっていた。余計な…