雨霞 あめがすみ

過去に書き溜めたものを小説にするでもなくストーリーを纏めるでもなく公開します。

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

鉛色の出来事 本編 九

私は教諭に一礼して教室を出た。教諭はまだ座ったままでいた。残務整理があったのだろう。 その方が良かった。教諭と一緒に廊下を歩くなんてまっぴらだった。 廊下か、もしかしたらその辺に中森が居るかも知れないと思ったが、居なかった。さっきは気のせい…

鉛色の出来事 本編 八

ようやく席に戻されたとき、授業終了のベルが鳴った。 終了の挨拶をした後、数人の掃除当番だけが残って、掃除を始めた。 私は当番ではなかったが、教諭は私にも掃除を手伝うように命じた。 教諭は何故か職員室に戻らずに机に座ったままだった。

鉛色の出来事 本編 七

虹教諭は問うた。表情を変えずに、普通の声よりも低く抑えて、それがむしろ前段階を楽しんでいるような嫌らしさが、私には感じられた。 「素振りとは、どんな素振りですか」 「どんなって…」 戸惑っていると、教諭は焦れた。顔にも険しさが漂った。 私はうつ…

鉛色の出来事 本編 六

毎週水曜日の午後、週に一時間だけ設けられている道徳の授業があった。 私は知らぬが、一部の人たちがどのような理由か廃止論を叫んだことがあるようだが、授業は今も存続しているのだろうか。 簡単に言えば正しい行いとか努力とか、日常の出来事対する考え…