雨霞 あめがすみ

過去に書き溜めたものを小説にするでもなくストーリーを纏めるでもなく公開します。

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

水色の日傘 6

「おっちゃーん、おっちゃんらどこから来たん」 私は、ゲームの成り行きを見守っている四角い体型の男の後ろから声をかけた。工場の作業着のようなのを着たその人は守備にも攻撃にも着いていないようで、どうやら見るだけの付き合いのようだった。 男は振り…

水色の日傘 5

私は帰宅してからも、それが気になって仕方がなかった。もし自分の母親が家計を支えるために外でかき氷などを売り始めたらどう思うかと。 大体私の母は、常日ごろお嬢さん育ちを自慢していてことあるごとにそれが出る。他にも待っててくれた人が沢山いたのに…

水色の日傘 4

「どこから来てるんやろ」 既にママさんの姿も見えなくなった公園の出入り口を眺めながら、私は呟いた。 「さあな、遠いとことしか言わなんだけど、小さい女の子連れてるからな」 乳母車を押してバスに乗ることは多分ない。だいいち帰って行った方向はバス停…