「どこから来てるんやろ」
既にママさんの姿も見えなくなった公園の出入り口を眺めながら、私は呟いた。
「さあな、遠いとことしか言わなんだけど、小さい女の子連れてるからな」
乳母車を押してバスに乗ることは多分ない。だいいち帰って行った方向はバス停のある方とは逆だった。小さな女の子の歩ける範囲であれば、充分私たちの行動範囲に違いないのだった。
私は篠田の顔を見つめながら言った。
篠田は腕組みし、片手で顎をさすりながら呟いた。
「関目かも知れんしな」
「どこから来てるのか確かめてみたい気もするけど、やめといた方がええな」
篠田は無言だったが、おそらく同意見だった。
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